切り替えが苦手な子:遊びをやめられない、予定が変わると崩れるときに
公園から帰れない。テレビを消すと泣く。出かける前に、なかなか動き出さない。予定が変わると、その日いっぱい機嫌が戻らない。ひとことで「切り替えが苦手」と言っても、どこでつまずいているかは子どもによって違います。
切り替えの苦手さにも、種類がある
子どもの気質を9つの面で記述した、精神科医のトーマスとチェスの研究では、そのうちの「順応性」(変化にどれくらい早く慣れるか)と、「注意の範囲と持続性」(ひとつのことを続ける長さと、粘り強さ)が、切り替えに関わります。
夢中になっていて、離れられない
ひとつの遊びに深く入りこむ子は、呼ばれても気づかないことがあり、気づいてからも手を止めるまでに時間がかかります。続ける力が強いぶん、終わらせる場面でぶつかりやすい。気質の4つの軸でいえば、進め方が「こだわり」の向きの子に多い形です。
変わること自体に、慣れるまで時間がかかる
今の遊びにそれほど夢中でなくても、次へ移ることそのものに抵抗がある子もいます。いつもと違う予定、急な来客、担任の先生のお休み。順応性の面で、慣れるまでに時間のかかる子です。
疲れていて、動き出せない
刺激の多い1日のあとや、眠い時間帯は、次の行動に移る力が残っていないことがあります。感じ方が「敏感」の向きの子は、夕方の切り替えでつまずきがちです。
今が楽しすぎる
次に何があるかより、今の楽しさが大きい。体を動かすのが好きな子は、公園で思いきり遊んでいる最中に「帰るよ」と言われると、強く抵抗することがあります。ふだんは切り替えの早い子でも、終わりが急に来ると、こうなりやすいものです。
切り替えの手前でできること
終わりを、目や耳でわかる形で予告する
「もうすぐ」は、子どもには長さのわかりにくい言葉です。時計の針、砂時計、タイマーの音、「この歌が終わったら」。終わりを目や耳でわかる形にして、少し前に伝えます。3〜4歳なら、時計より、歌や回数のほうが伝わりやすい子が多くいます。
作りかけを、なくさない形で終わらせる
夢中になる子にとって、終わらせることは、作ったものを失うことに近いのかもしれません。途中まで作ったものを写真に撮って、「続きは、ここから」と見せる。崩さずに置いておける場所があるなら、そこへ移して名前の札を立てておく。
前の楽しさを、次へ少し持ち越す
今の遊びから次の行動へ、つながるものを用意します。「お風呂で、この怪獣の続きをしよう」「帰り道で、さっきの話の続きを聞かせて」。
移り方を、毎回同じにする
変化に慣れるまで時間のかかる子には、移り方そのものを決まった型にします。使っていたおもちゃを本人がかごに戻す、部屋の電気を消すのは本人の係、玄関では帽子からかぶる。決まった手順を、次へ移る合図にします。
テレビや動画を終わらせるとき
画面の前での切り替えは、ほかの遊びより難しくなりがちです。次の話が自動で始まり、区切りが見えにくいためです。
- 終わりは、時間より本数で決める。「2本見たらおしまい」。1本の途中では止めない
- 見始める前に、見終わったらすることを決めておく。「終わったら、お風呂ね」
- 画面を消すのは、本人に任せる。大人が消すと、取り上げられた形になりやすい
- 疲れている夕方は、終わりにくい時間帯です。見るなら、夕飯の前より後に回す
予定が変わるとき
予定の変更は、わかった時点で早めに、理由とあわせて伝えます。変わるところだけでなく、変わらないところも言う。「雨だから、公園はやめるね。おやつは、いつもどおり家で食べよう」。
急な変更で崩れても、変更を取り消すことはありません。気持ちを受け止めたうえで、代わりにできることを一つ示します。どうしても変えられない用事が入りやすい家庭なら、カレンダーに「変わるかもしれない日」の印をつけておく方法もあります。
小学校に上がると
小学校では、チャイムで次の授業に移る、休み時間の終わりに遊びを切り上げる、といった切り替えが1日に何度もあります。家での切り替えに時間がかかる子は、学校でも同じところで疲れていることがあります。
担任の先生には、困っている様子ではなく、合いやすいやり方を具体的に伝えます。「予定が変わるときは、前もって知らせてもらえると落ち着きやすい」「声をかけてから動き出すまでに、少し時間がかかります」。
親の気質で、待てる長さも違う
切り替えに時間のかかる子を、どれくらい待てるかは、親の気質によって違います。
その場で次々に動きたい人には、待つ時間そのものがしんどい。「まだ?」「早く」と、声をかける回数が増えていきがちです。予告は1回、そのあとは時計を指さすだけ、と自分の中で決めておきます。
予定どおりに進めたい人は、子どものペースで予定が後ろへずれていくことがこたえます。朝、帰り際、寝る前のように切り替えの多い時間帯は、最初から余白を入れた予定にしておきます。
親も何かに没頭しやすい気質だと、子どもの「まだやめたくない」はよくわかります。そのぶん、自分の作業の手を止めて声をかけるのが遅れ、予告の時間がとれないまま「もう行くよ」になりがちです。声をかける時刻を、先にタイマーで決めておきます。