おやこ気質アトラス

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イヤイヤ期が長引くとき:「イヤ」の中身は、気質によって違う

イヤイヤ期は、2歳前後をピークに、3〜4歳ごろにかけて落ち着いていくことが多いと言われます。それでも、3歳を過ぎて「イヤ」が続く子は珍しくありません。言葉が増えて、イヤの言い方が変わっただけに見える子もいます。

同じ「イヤ」でも、何がイヤなのかは子どもによって違い、その違いには気質が関わっています。中身の見当がつけば、イヤが出る手前で打てる手が変わります。

イヤイヤ期に起きていること

自分でやりたい、自分で決めたい、という気持ちが強くなる一方で、手先も言葉も、まだその気持ちに追いつかない。そのずれが「イヤ」になって出る、というのがよく言われる説明です。

3歳を過ぎると、理由を言葉で言えるようになり、イヤは交渉や口答えの形に変わっていくことがあります。「だって、まだ眠くないもん」「さっきはいいって言ったのに」。形は変わっても、自分で決めたい気持ちが土台にあるところは同じです。

イヤの強さや、続く長さは、子どもによって大きく違います。精神科医のトーマスとチェスは、ニューヨークで子どもたちを乳児期から追いかけた研究で、初めてのものへの近づき方、変化への慣れ方、泣く・笑うといった反応の強さに、赤ちゃんのころから個人差があることを記述しました。同じように接していても、イヤの出方は子どもによって違います。

「イヤ」の中身は、気質で分かれやすい

イヤが出る直前に何が起きていたかを見ると、中身の見当がつきます。よくあるのは、次の4つです。

やり方や順番を変えられたときのイヤ

自分で留めようとしていたボタンを、大人が留めてしまった。いつもと違う道で帰ることになった。お風呂で、いつもと違う順番で体を洗われた。自分なりの手順を持っている子は、それを途中で変えられたときに、強く怒りがちです。

手伝ったつもりの大人からは、何に怒っているのかが見えにくいイヤです。気質の4つの軸でいえば、進め方が「こだわり」の向きの子によく見られます。

感覚が合わないときのイヤ

新しい服のごわつき、騒がしいお店、においの強いおかず。着替えや外出のたびに出るイヤは、わがままに見えても、刺激を強く受け取る感じ方から来ていることがあります。感じ方が「敏感」の向きの子に多く、本人も理由をうまく言えないことがよくあります。

体の動きを止められたときのイヤ

まだ走っていたい、まだ滑り台をしたい、というところで手をつながれる、座らされる。体を動かして過ごしたい子にとっては、止められることそのものが大きな不満になります。「イヤ」と言いながら走って逃げるのも、このイヤによくある形です。エネルギーが「動」の向きの子に出やすいものです。

初めてのことへのイヤ

初めての場所、初めて会う人、やったことのない遊び。入る前から「行かない」「やらない」と言い、少し離れたところで眺めたあと、自分から入っていく子も多くいます。トーマスとチェスは、新しいことに慣れるまで時間のかかる子を「slow to warm up(ゆっくり慣れる子)」と呼びました。エネルギーが「静」の向きの子に多い姿です。

1人の子に、いくつかが重なって出ることもあります。まだ遊びたいところで止められ、しかも帰り道がいつもと違った、というように。重なっているときほど、イヤは大きくなりがちです。

中身によって、手前でできることが違う

イヤが出てからの説得は、どの中身でも通りにくいものです。手を打つなら、イヤが出る手前です。

やり方や順番のイヤには、手を出す前にひと声かけます。「ここ、手伝ってもいい?」。断られたら、時間の許す範囲で待つ。急ぐ日の朝のように、どうしても大人がやるときは、やる前に「今日は急ぐから、ここは手伝うね」と言っておきます。いつもと違う道で帰るなら、歩き出す前に知らせます。

感覚のイヤには、本人が平気なものを先にそろえておきます。着られる服と着られない服があるなら、着られるほうを多めに用意し、朝は2枚から選ばせる。騒がしい場所は、いる時間を短く決めてから入る。初めてのおかずは、ひと口目を求めず、皿のはしに置くだけの日があってもかまいません。

止められるイヤには、止める代わりに、体を使う形を用意します。手をつなぐ代わりに「あの角まで、どっちが静かに歩けるか」。待ち時間には、荷物を持つ、エレベーターのボタンを押す、と役を渡す。公園から帰る前には、最後に思いきり走る1本を入れておきます。

初めてのことのイヤには、見るだけの時間を先に用意します。行く前に、写真や話で場所の様子を伝えておく。着いたら「まずは見てるだけでいいよ」と言い、輪に入るかどうかは本人に任せる。初回に入れなくても、2回目、3回目で入れる子もいます。

決めたい気持ちには、決められる範囲を渡すのも手です。「どっちの靴にする?」「歯みがきとパジャマ、どっちが先?」。選ぶのは、大人が決めた枠の中だけにします。

親の気質によって、こたえるイヤも違う

イヤがしんどいかどうかは、子どもの気質だけでは決まりません。親にも気質があり、同じイヤでも、こたえ方は人によって違います。

予定を決めてそのとおりに進めたい人には、時間が迫っているときのイヤがいちばんこたえます。出かける10分前に、この服はイヤだと言いだす。イヤの分の時間を、最初から予定に入れておきます。支度にかかる時間を、ふだんより長めに見積もる。

その場の思いつきで動きたい人は、同じ順番へのこだわりにつきあうことが負担になりがちです。毎回同じ手順を求められると、つい省きたくなる。手順そのものを変えたいときは、その場で変えずに、落ち着いている時間に子どもと決め直します。

音や声に敏感な人は、泣き声や大きな「イヤ!」そのものに消耗します。けがの心配がなければ、少し離れて、声の届くところで待つ。自分が持ちこたえられる距離をとってかまいません。

小さなことは受け流せる人は、子どものイヤも「そのうち忘れる」と流しやすいかもしれません。子どもも同じようにおおらかなら、それで回ることも多い。子どもが敏感だと、流されたこと自体が残る子もいます。言い分は通さなくても、一言だけ受け止めます。「その服、チクチクするんだね。今日はこれで行こう」。

人と過ごすと疲れがたまる人は、1日に何度も交渉が続くと、夕方には余力が残っていないことがあります。言い方を工夫するより、交渉の回数を減らすほうが続きます。着る服は前の晩に決めておく、出かける前の流れを毎日同じにする。

子どもの気質と自分の気質が、同じ向きか逆向きかによっても、ぶつかりやすいイヤは変わります。

この記事は、気質についての情報です。医療や発達の診断に代わるものではありません。

出典

  • Thomas, A., & Chess, S. (1977). Temperament and development. Brunner/Mazel.

研究との関係と、この診断が独自に決めたことは、土台にしている考え方にまとめています。

この子の「イヤ」は、 どこから来ているだろう。

4つの軸それぞれで、お子さんがどちらの向きに寄っているかがわかります。続けてあなた自身の気質を診断すると、ふたりの間で起きがちなことも見られます。

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